第269章 私は沈黙を守った

宮本陽叶がその言葉を口にした瞬間、福田祐衣の耳から一切の音が消え去った。

まるで世界中が静寂に包まれたかのように、ただ自分自身の激しい心音だけが、鼓膜を破らんばかりに響き渡っている。

どれほどの時間が流れただろうか。福田祐衣はようやく自分の声を取り戻し、掠れた声で宮本陽叶を真っ直ぐに見つめた。

「あなた……今、なんて?」

対照的に、宮本陽叶はどこまでも冷静だった。その眼差しは福田祐衣を捉えて欠片も逸らすことなく、ただもう一度、同じ言葉を繰り返した。

「俺と結婚してくれないか」

福田祐衣の思考は、再び完全に停止した。

宮本陽叶は急かすことはしない。その瞳にはかつてないほどの柔らか...

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